精巣がんは世界的に増加傾向にあるため、環境ホルモンの関与が疑われてきた。
しかし、1996年の「ネイチャー」誌に報告された研究によると、北欧4力国における精巣がんの発生率は国により4倍の差があるにもかかわらず、各国女性の母乳中DDE(環境ホルモン作用が疑われている農薬DDTの代謝産物)の濃度には差がなかった。
さらに、北欧4力国における精巣がんの発生率はこの25~30年で上昇しているにもかかわらず、母乳中のDDE濃度はこの時期に80~90%低下している。
したがって、精巣がんの最近の増加と、DDTなどの環境ホルモンとの関係を示す結果ではなかった。
1992~1993年に報告されたコネチカ。
トとニューヨークでの2つの研究では、乳がん患者におけるPCB(ポリ塩化ビフェニル)とDDEのレベルが、コントロール群より高かった。
そのため、これらの化学物質が、乳がんの一因となる可能性が考えられてきた。
しかしその後に行われた同様の研究の大半では、乳がん患者でもコントロール群でも差がないという結果だった。
一連の研究のまとめから研究者は、男性の生殖機能の国際的な低下ははっきりせず、精巣がんや女性乳がんと環境ホルモンとの結びつきも考えにくいと考察しています。
ただしこれら以外のヒトの健康への影響や、環境全般に対する影響までは否定できないので、さらに研究が必要と述べています。
豚がんの患者では、環境ホルモン作用が疑われているポリ塩化ビフェニル(PCB)の血中濃度が、正常の人よりも1.5倍高くなっていました。
米国エモリー大学のグループによるこの研究は、がん疫学の専門誌「がん疫学、生体指標、予防」の2000年2月号に報告されました。
研究者らは、米国サンフランシスコに住む人で、1996~1998年に豚がんにかかった108人と、健康な82人から採血をした。
PCBや、DDE(農薬として使われ、環境ホルモン作用が疑われているDDTの代謝産物)などの有機塩素系化合物の、血中濃度を測定した。
その結果、PCBの平均濃度は、健康な人では、血清脂質一グラムあたり220ナノ(10億分の1)グラムだったのに対して、豚がん患者では329ナノグラムで、健康な人よりも1.5倍高かった。
つぎに、対象者をPCB濃度によって3グループに分けて豚がんのリスクを比べると、血中濃度が低いグループと比べて、中程度のグループでは1.3倍、高いクループでは4.2倍高くなることが分かった。
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